2015年07月23日
母乳育児についての考え
こんにちは しんしろ助産所です
最近、インターネットでの偽冷凍母乳販売が
話題になりました。
母乳が出ずに追い詰められたおかあさんが
あかちゃんのためにネットで母乳を購入したところ、
人工乳が混ざっており、
且つ非常に不衛生なものだったというもの。
冷凍母乳がネットで取引されていること自体知らなかったため、
とても驚きました。
そして、そこまで追い詰められているおかあさんがいらしたことに
助産師として強く責任を感じています。
そして今日、さらに 「未だ根強い母乳信仰・・・」
という記事を目にしました。
そこで改めて 母乳育児を支援するものとして、母乳育児に対する考えを
記してみようと思います。
まず、このような話題が出る時によく耳にするのが
「ミルクで育てたことへの罪悪感」 。
よく 「母乳育児 vs ミルク育児」 のような
対立意見を目にすることがありますが、
母乳=善、ミルク=悪・・・? そんなことはありません。
もちろんその逆もありません。
母乳で育ったら幸せで、ミルクで育ったら不幸せ・・・?
そんなこともありません。
だからといって
「それなら 初めからミルクで育てればいいじゃない。」
というわけでもありません。
母乳にはたくさんの良さがあるので、
できる限り母乳で育てて欲しい・・・という気持ちは常に持っています。
ただ、全ての人が完全母乳で育てられるわけではありません。
人には個人差があるので、
母乳がたくさん出る人もいれば、ほとんど出ない人もいます。
でも 「体質的に母乳の出が少ない」 = 「努力が足りない」 訳ではないのです。
母乳が出ないことで自分を責める方がみえますが、
その時は早めに見極め、ミルクの補足の必要をわかっていただいています。
私たちが一番問題視し、支援が必要だと思っているのは
「私は母乳の出ない体質」 と思いこんでいる方や
短期入院や帝王切開などの理由から
抱き方や含ませ方が習得できないままに退院した方たちです。
助産所には、本当は支援さえあればもっと早く母乳が出たと思われる
おかあさんがみえます。
そうしたおかあさんが一人で悩んでいる現状も多々あります。
実際に支援することで母乳分泌量が増えたり、
吸いつけなかったおっぱいを吸ってもらえる方が結構
みえます。
「母乳で育てないとダメ」 「ミルクで育てればいい」
という極論ではなく、
悩んでいるおかあさんを支援し、
本人の納得できる母乳育児をおこなえるようにすることが
母乳育児支援であると思っています。
ある先輩助産師が
「100%母乳で育てることが大切なのではなくて
その人の出る100%の母乳を
あかちゃんにあげられることが大切」
と話していましたが、その通りだと思います。
ほんの1滴でも母乳が出るのであれば
その1滴をあかちゃんに与えてください。
それは立派な母乳育児です。
中には病気で全く母乳をあげられないおかあさんも
みえるかもしれません。
でも、間違えないでほしいのは 子育てで一番大切なのは
母乳で育てたかミルクで育てたかではなく、
まぎれもなく おかあさんもあかちゃんも 心身ともに幸せなこと。
その考えを大切にかかわっていきたいです。